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内視鏡下鼻内手術の進歩

テキスト 雑誌など

雑誌名:働く女性のためのクリニック・病院ガイド

掲載日:2010年2月17日

avanti

発行:株式会社アヴァンティ new 編集部さま

鼻の症状が辛い。

毎日慢性的なものだから我慢するしかない?

みちこさん(事務職・既婚・36歳)の症状

 子どもの頃から鼻づまりや鼻水に悩まされ、アレルギー性鼻炎やちくのう症と診断されました。風邪をひくと鼻の症状が特にひどくなり、眠れないほどです。薬を飲んでも症状はあまり変わらないため、今は通院もしていません。何事にも集中できず、辛くて仕方ないのですが、慢性的な鼻炎は我慢するよりほかないのでしょうか。

編集部

アレルギー性鼻炎だけでも推定で10人に1人と聞きますが、誰でもかかる恐れがあるのでしょうか。

坂口先生

体内に存在しないものが体内に入ると、免疫反応で体を守る抗体が作られます。再びその物質が侵入した時に抗体が過剰に反応し、いろんな症状を起こすのがアレルギーです。

 ちくのう症とも言われる慢性副鼻腔炎は、風邪をひいた時などにウイルスや細菌に感染して、副鼻腔※に炎症が起こるものです。また最近はぜんそくなどアレルギーが関与した好酸球性副鼻腔炎という新たな考え方の副鼻腔炎が増えています。これは遺伝的・体質的要素により、発症しやすい人・しにくい人がいる一方で、生活環境の変化によりアレルギーが増加したという見方もあります。そのため一概には言えませんが、日常生活の中に要因が潜む身近な疾患ではないでしょうか。

編集部

鼻炎や副鼻腔炎になると日常生活に支障が出るほど辛いようですが、どのような症状が見られますか。

坂口先生

アレルギー性鼻炎の典型的な症状はくしゃみ・鼻水・鼻づまりです。症状を起こす原因物質には、ハウスダストやダニ、カビ、花粉、ペットの毛やフケなどがあります。花粉症はその花粉が飛ぶ季節に限定される場合が多いのですが、ハウスダストなどが原因のアレルギー性鼻炎は季節を問わず、年中症状がでます。

 副鼻腔炎は色のついた粘りのある鼻漏や鼻づまりに加え、頭痛や顔の痛み、鼻の周りや目の奥の痛みなどを伴うことがあります。重症化すると鼻呼吸が困難になり、嗅覚の低下、集中力の低下、だるさといった不快な状態が続きます。症状そのものの辛さに加え、仕事や生活に支障をきたす苦痛は想像以上です。

内視鏡下鼻内手術の進歩で体への負担が少ない治療が可能に。

編 集 部

慢性的な疾患は辛抱強くつき合わなければいけないイメージがあります。治療により改善は期待できますか。

坂口先生

症状によって治療法を考えていきます。抗アレルギー剤や抗生剤を投与する薬物療法や、吸引器で鼻の中にたまった分泌物を取り除き、ネブライザーという装置で抗菌薬などを副鼻腔に直接送り込む局所療法などは、軽症の場合には緩和が期待できます。

 しかし重症の鼻炎・副鼻腔炎や、鼻の骨が曲がっていて(鼻中隔弯曲症)鼻がつまる場合などは、投薬などだけでは改善は難しいでしょう。副鼻腔炎は慢性化すると鼻茸と呼ばれるポリープができ、さらに鼻づまりがひどくなることもあります。これらのケースには手術療法を検討します。前述した好酸球性副鼻腔炎へは、嘆覚障害、鼻づまりから始まり、鼻腔内にポリープが多発するなど症状や所見が強くなっていきます。特にぜんそくがある方は要注意です。治療には手術が必要ですが、術後の治療が非常に重要になります。

編 集 部

鼻の手術は、ここ10数年で大きく進歩したと聞きます。

坂口先生

昔から鼻の外科的治療は行われていました。しかし、例えば副鼻腔炎の場合、歯肉の上方を切開し、上あごの骨を削るなど体への負担が大きく、入院期間や術後治療が長期にわたるというデメリットがありました。

 近年は内視鏡技術の進歩により、現在では正常な粘膜を傷つけることなく、切開や切除する部分を必要最小限に抑えた手術が可能になりました。アレルギー性鼻炎では、鼻腔内の通気をよくするため下鼻甲介の骨のみを切除し粘膜を保存する粘膜下下鼻甲介骨切除術 テレビや、むずむず感や鼻水、鼻づまりを誘発する神経をブロックする鼻内後鼻神経切断術 テレビ(ビディアン神経切断術)などを行います。粘膜を切除しないので、鼻の加湿・加温機能の維持が可能です。 手術は30分~1時間程度 、入院は2泊3日くらいです。慢性副鼻腔炎、好酸球性副鼻腔炎では、すべての副鼻腔を開放し、膿がたまらないようにする副鼻腔根本手術を行います。入院期間は3~5日程度です。

編 集 部

治療とともに症状を悪化させないための注意や予防も大切だと思います。

坂口先生

アレルギーの場合は、こまめに掃除をして室内を清潔に保つなど、アレルゲンを近づけないことから始めましょう。副鼻腔炎は風邪がもとで発症したり、症状を悪化させたりするので、風邪をひかないよう注意することも予防の一つです。医師の立場からは、過去の症状の経過や患者さんの辛さを確認し、正確な診断を行って治療に臨むことが、改善と悪化防止の第一歩と考えます。診察の際にはどんなことでも相談し、状況を伝えて、よりよい改善策を見つけていきましょう。

編 集 部

先生が「数少ない内視鏡による鼻内手術のエキスパート」と言われる理由が分かった気がしました。ありがとうございました。

※ 副鼻腔(ふくびくう)とは、鼻の穴(鼻腔)の周りの骨や粘膜の間にある空洞のこと。大きく眉間、頬骨の下、鼻の奥の方にある4つの空洞に分けられる。

★クチコミ

たかこさん(主婦・64歳)

 慢性副鼻腔にかかったのは5年ほど前。ある病院で手術を受けたのですが完治せず、鼻づまりや色のついた鼻水などに苦しんでい苦した。縁あって坂口先生を訪ねたところ、とても丁寧でわかりやすい説明から2度目の手術を決心。あれほど辛かった症状がすっかりなくなり、驚くほど毎日の生活が快適になりました。夜、熟睡できること、匂いがわかることに喜びを感じています。

ユウタロウさん(製造業・27歳)

 アレルギー性鼻炎で子どもの頃に病院に行ったのですが」治療が辛くてそれっきりに。今回の診察ではCT撮影を行うことでどこがどう悪いかを納得でき、先生の説明もわかりやすく手術を決意しました。全身麻酔のため痛みを感じることもなく、術後5日で退院。今は定期的に診察を受けていますが、鼻づまりが解消し、いびきもかかなくなり生活ががらりと変わっています。

坂口伸治取材協力

坂口伸治 先生(理事長)

久留米大学医学部卒。1985年久留米大学耳鼻咽喉科学教室入局、『九州がんセンター』等勤務後、『久留米大学病院』にて外来医長、病棟医長、医局長を経て『坂口医院』『坂口耳鼻咽喉科』『天神耳鼻咽喉科(山下弘之院長)』を開業。正確な診断や症状を考慮した診察が信条。

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