症例経験豊富な専門医に聞く耳鼻咽喉科特集

トップページ > メディア目次 >

症例経験豊富な専門医に聞く耳鼻咽喉科特集

雑誌など

雑誌名：病院の実力 YOMIURI SPECIAL 95

発行日：2015年10月19日

編集社：読売新聞医療部

価格：800円（税別）ISBN978-4-643-15008-7

病院の実力（夫婦で考える病気）

医療専門記者による全国の病院の取材や最新医療情報を載せたよりよい病院選びの決定版「病院の実力・スペシャル版」に医療法人SSCが掲載されていましたのでご紹介。

（紙面を管理人がテキスト化しています）

耳鼻咽喉科手術の経験豊富な医師が重い症状を抱える患者に質の高い治療を

日本の耳鼻咽喉科の専門病院として豊富な手術実績をもつ坂口耳鼻咽喉科。6つの耳鼻咽喉科と1つの関連施設を展開する医療法人SSC理事長の坂口伸治先生に、手術と治療方針についてうかがった。

アレルギー性鼻炎では高い止血技術により血管と神経を切る手術

坂口理事長は久向田米大学を卒業後、同大病院耳鼻咽喉科や九州がんセンターで、おもに頭頚部がんの治療に携わりながら、外科医としての実績を重ねてきた。大牟田市に坂口医院を開業し、福岡市には坂口耳鼻咽喉科を設立。この２院で診療、手術を続けながら、医療法人SSCを展開し、2014年1～12月は、1100件を超える手術を行っている。

手術の対象となる代表的な疾患は、アレルギー性鼻炎と慢性副鼻腔炎、鼻中隔琴曲症だ。

アレルギー性鼻炎では、耳鼻咽喉科学会が基準とする重症例で手術を適用。術式としては、粘膜下下鼻甲介骨切除術と後鼻神経切断術を組み合わせ、鼻中隔の琴曲が強いケースには、鼻中隔矯正術も同時に行う。

坂口耳鼻咽喉科CT

「近年は、術後の出血を危倶し、鼻づまりやくしやみを起こす神経だけを切除して、血管は残す術式を採用する施設が増えています。しかし血管を残すと、切除した神経の断端から再び神経が血管に添って延び、症状が再発する可能性があります。当院では、止血方法を工夫することで、血管も一緒に取り除く手術を行い、神経をブロックし、治療後の再発、再手術にならないよう最善を尽くしています」

好醸球性副鼻腔炎でも再発を防ぐ術式に注力

副鼻腔の粘膜が腫れたり、膿がたまったりする慢性副鼻腔炎には、従来の細菌感染を主体とする副鼻腔炎と、アレルギー体質が関係する好酸球性副鼻腔炎の2つがある。

「好酸球性副鼻腔炎は、早期より喚覚障害が出て、粘膜を保存する方法で手術をすると再発する特徴をもちます。当院では、可能な限り粘膜を除去する術式を導入し、根治的な治療をめざしています。また、再発した方も、ステロイドを内服すると発症の抑制が期待されるのですが、副作用のリスクを鑑みて、ひと月に1週間以上ステロイドを使用するようになつたケースには、EMMMという新しいアプローチによる手術を適用しています」

⇒ 2014年1月〜12月までの手術症例数

耳鼻咽喉科症例件数

そのほか、扇桃炎では学会の基準に則り、扇桃指数を基準に手術を適用する。

「耳鼻咽喉科の開業医は服薬をはじめとする保存的治療に特化していることが多く、手術をすれば症状の改善が見込まれることを知らない患者さんが大勢います。症状が重くて因っている患者さんには『手術を施せばどこまで良くなるか』という説明をしたうえで、治療法を選んでもらうのが本来のあり方だと思います。必要なことは、的確な診断力と手術の高い技術をもつことです」

耳鼻咽喉科、なかでも鼻疾患に関する外科的治療の専門病院として、後輩医師への技術伝授にも積極的に取り組む坂口理事長。より質の高い耳鼻科医療の提供をめざし、真撃な挑戦が続く。

坂口伸治